木工作57


    看板の制作
そば屋を経営する弟に依頼され、看板を作ることになりました。

用意した材料は、兄貴が田舎から持ってきたご覧の欅の一枚板・・・長さは1400mm程あるのですが、耳の部分が幅広く、文字を彫り込む幅が取れない。
一応、鉋で反りを取り、サンダーで仕上げたのですが、ちょっと小さい感じ。
欅は本当に固くて大変ですね・・・鉋を横刷りでかけたのですが、30分経っても修正できるのはほんの少し。

一応、鉋は荒削り用と仕上げ用に調整して2台用意したのですが、荒削りも終わらないうちに根を上げてしまう状態・・・。
そこで、弟の店から、現在使用中の看板を外して持ち帰り、表面を削って再利用することに。
前述のように、鉋で削っていたのでは何日かかるか分からないので、凸凹になるのを覚悟の上で、電気鉋で修正することに・・・けど、字の彫り込みが最深部で8ミリもあり、削るのが大変なのと、板厚が薄くなってしまうため、結局は裏面を使用することにしました。
電気鉋のあと、ベルトサンダーで修正したのですが、大変な作業でした。
自動カンナに通せれば楽なのですが、幅か400ミリも有るので、どうしようもないのです。
と言うことで、ご覧の裏面をサンダーで仕上げ、取り付け用の金具を止めていたネジ穴を割り箸で塞いで、彫り込みの準備は完了。

しかしながら、友人の書家に依頼している原稿がまだ届かないので、実際に彫るのはしばらく先です・・・このために電動彫刻機なる物を購入したのですが、上手く彫れるのか心配ではあります。

ロールオーバーします
友人の書家に依頼していた原稿が出来上がりました。
今年の書き初めも兼ねて、色々な書体で10種類くらい書いてくれたのですが、その中で選んだのがコレ。

「茶」の字が力強くて良い感じだと思いませんか
ちなみに「茶遊庵」(さゆうあん)と読みます。

かすれた部分の彫り込みが難しそうなので、ロールオーバーのように手直ししましたが、手を加えない方が良いような。
上記の原稿をパソコンに取り込み、フリーソフトを駆使して欅板の素材に配置してみたらこんな感じに。

おおー、良いじゃないですか。

後はこの字を実際に彫り込む私の腕次第・・・・ここまで忠実に再現できるなんて期待してませんよね・・・?
さて、どんな仕上がりになるか・・・。

ロールオーバーします
文字の原稿も手に入りましたので、いよいよ1/17〜18の週末に彫り込みです。

先ずは原稿の文字をコピーで拡大し、配置を検討・・・この後ロールオーバーの様に看板板に糊で貼り付けて、彫り込み準備OK
寒いですから、糊が乾くまでの待ち時間も長いですね・・・と言うことで日光で天日乾燥させました。

ロールオーバーします
糊も乾いたようなのでいよいよ彫り込み開始。

先日ヤフオクでゲットしたリョービの電動彫刻機に三角の刃をセットして慎重に彫っていきます。
勿論一気に深く彫り込む技術と自信がないので、少しずつ、浅く・・・。
何とか上手く行きそうな感じ。
ロールオーバーで彫刻部のアップ。

ロールオーバーします
なんだかんだと、一文字約1時間かけて、彫り込みは完成・・・残った原稿を水洗いして取り除き、再度天日乾燥させました。
お次に色入れ・・・彫り込んだ部分だけの着色なんて私に出来るわけがないので、彫り込み前に下準備として、余分な部分まで塗料がはみ出しても、下地まで染み込まないようにクリヤーラッカーを塗っておきました。

そのお陰で、雑な色づけの後、サンダーで軽くサンディングしたら、ロールオーバーのようにきれいな枠線に仕上がりました。
彫り込み部に色を入れ、サンディングした後の全体像です。

ちなみに塗料は、工芸漆の黒色を薄めずそのまま使用しています。


出来上がった枠線の内側にも色を入れ、上の写真のように文字が仕上がりました。
下の物は、以前にPC上で合成して作った物ですが、字の大小こそ有れ、良い感じじゃありませんか・・・?

勿論、あまり拡大するとアラが見えますが、この看板を掲示するのは入口ドアの上になるため、そんなに目立たないでしょう。・・・どうしても拡大画像を見たい方は、上側の看板をクリックしてみてください・・・粗探しは無しで。
ついでに、字体見本と、実際の彫り込みの合致度はこんな具合。
毛先だけで書かれた「かすれ」部分はなかなか上手く出せなかった物の、自分では合格点かな?・・・と
最後に、全体を油性ニスでコーティングして完成・・・となりますが、今回は時間切れで1回しか塗装できず、次週に後2−3回塗り重ねれば、納品できる状態になると思います。

いつもクリヤー塗装はクリヤーラッカーを使用しているのですが、油性の工芸漆が溶け出したり、縮んだりするのが不安だったため、同じ油性の上塗りを選択しました。

完成まであと少し・・・。
前回より、油性ニスを5回ほど上塗りし、仕上げも完成しましたので、1月25日の日曜日、納品取り付けに行ってきました。

取り付けには、元々付いていた金具をそのまま流用し、こんな感じに。

まだニスの変色もありませんので、明るくて良い感じですね。
ちょっと遠景から・・・看板にフラッシュが反射してよく見えませんね。

実物をご覧になりたい方は、南蒲田商店街の店に行って、蕎麦でも食べてきてください。
場所は、左の写真をクリックすると地図にリンクします。
最後に、そば屋の女将さんからのリクエスト。

暖簾の文字を看板と同じにしたいとのことで、縦書きにしてみました。
左の文字をクリックすると、拡大画像にリンクしますよ。

  
   
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